禁煙支援

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松沢成文県知事と森田雅之県病院薬剤師会会長の対談
(2009年9月14日付神奈川新聞)
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神奈川県病院薬剤師会は、世界保健機関(WHO)が策定した世界条約「たばこ規制枠組み条約」が批准国のわが国でも速やかに履行されることを期待するとともに、日本病院薬剤師会の「禁煙推進宣言」および神奈川県が推進している禁煙サポート事業の趣旨に基づき、病院薬剤師として積極的に禁煙支援を推進します。

日本病院薬剤師会の「禁煙推進宣言」

  1. 薬剤師の禁煙を推進する。
  2. 喫煙の健康に及ぼす悪影響について、正しい知識を国民に普及啓発する。
  3. 受動喫煙による健康被害から非喫煙者を守る。
  4. 禁煙希望者に対する禁煙の助言と支援をより一層充実させる。
  5. 保健医療専門職として禁煙推進活動に積極的に参加し、主導的に行動する。
  6. 病院・診療所における禁煙を推進する。
  7. 薬学生に対して喫煙と健康及び禁煙支援についての教育を行う。


神奈川県が推進している禁煙サポート事業

  1. タバコの健康影響についての正しい知識の普及
    タバコの健康影響や効果的な禁煙方法などに関する知識、情報の提供を行う。
  2. 禁煙教育の実施
    保健福祉事務所において、禁煙希望者等を対象に禁煙教育講演会や禁煙相談を実施する。
  3. 禁煙支援医療機関リストの情報提供
    ニコチン置換療法などを希望する県民に対して医師会と連携して、禁煙外来を行う医療機関のリストを作成し、広く情報提供する。

禁煙支援

タバコとくすりの相互作用

喫煙は、肺癌などの喫煙関連疾患であるがんの発症頻度を高めるだけでなく、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳血管障害、消化性潰瘍などの発症頻度も高めます。

タバコはそれ自身で体に有害な作用を引き起こしますが、一部のくすりの効果にも影響を及ぼすことがあります。タバコには、主成分のニコチン以外に、4000種類以上の化学物質が含まれています。その中には、タバコのヤニに含まれる芳香族多環炭化水素などがあります。喫煙によってくすりの効果が変化する要因は、ニコチンによる作用と芳香族多環炭化水素による作用に大別できます。

ニコチンによる作用
ニコチンの薬理作用により体に生理的変化が生じ、その結果使用しているくすりの効果に影響を及ぼすことがあります。β-遮断薬と呼ばれるくすりは、心拍数 を抑え血圧を下げ、狭心症や高血圧などに用いられています。ニコチンはβ-遮断薬と反対の作用を示すため、喫煙者ではこれらのくすりの効果が弱くなり、増 量が必要となります。インスリンは糖尿病の血糖を下げる目的で使用されます。ニコチンは血糖を上昇させるホルモンを増加するため、インスリンを使用してい る方では、喫煙後に血糖値が上昇する場合があります。

芳香族多環炭化水素による作用
芳香族多環炭化水素は、くすりを代謝させる酵素の働きを強めます。その結果、一部のくすりでは代謝が促進され、その効果が弱くなります。テオフィリンは気 管支拡張作用があり、喘息に使用されます。1日20本以上タバコを吸う喫煙者では、テオフィリンの血中濃度が非喫煙者の2/3~1/2程度になると報告さ れています。そのため、喫煙者では非喫煙者よりくすりの量が多く必要となります。禁煙を補助するくすりであるニコチンガムやニコチンパッチは、ニコチンの みを含有し、芳香族多環炭化水素を含有していないので、これらを使用して喫煙者が禁煙した時は、くすりの効果が強く現れる場合があります。


健康を維持しタバコとくすりとの相互作用を避けるためにも禁煙は必要です。

飲む禁煙補助薬

タバコに含まれるニコチンには依存性があり、タバコをやめるとニコチンが摂取できなくなるため、さまざまな不快症状(離脱症状)が現れ、禁煙を困難にしています。離脱症状は禁煙後2~3日後に最も強く現れ、5~7日後には弱くなります。この症状を軽減するため、ガムやパッチ(貼り薬)に含有させたニコチンを体内に吸収させた後、体内に移行するニコチン量を徐々に減らして最終的に中止するニコチン置換療法という治療法が行なわれています
2008年5月、ニコチンを含有しない新しいタイプの飲む禁煙補助薬バレニクリンが保険適用になり、禁煙の薬物治療に新たな選択肢が加わりました。

バレニクリン (商品名:チャンピックスR錠)とは

喫煙するとニコチンは短時間(約7秒)で脳に移行し、脳内に存在するニコチンの受容体(受け皿)に結合して、快感を生じさせるドパミンという物質を増やし ます。バレニクリンはこの受容体に部分的に結合し、少量のドパミンを増やすことにより、喫煙時に似た弱い満足感が得られ、禁煙に伴う離脱症状やタバコに対 する欲求が緩和されます。同時に、受容体へのニコチンの結合を妨げるので、喫煙時のニコチン摂取により通常得られていた満足感が得られにくくなり、喫煙習慣が抑制されます。

 

利点
ニコチンを含有しないため、ニコチン置換療法では禁忌である不安定狭心症、急性期心筋梗塞などやニコチンパッチによる皮膚の発赤、ニコチンガムが使用しにくい義歯などの場合にも使用できます。

 

服用方法
禁煙開始日を設定し、その1週間前からバレニクリンの服用を開始します。バレニクリンを第1~3日目は0.5mgを1日1回、第4~7日は0.5mgを1 日2回、第8日目以降は1mgを1日2回服用し、服用期間は合計12週間です。ニコチンガムやニコチンパッチとの併用は有効性が証明されていないので、原 則として認められていません。腎臓の機能が重度に低下している場合は、服用量を減らします。

副作用
主な副作用は、嘔気、不眠、異常な夢、頭痛、鼓動、便秘などがあります。

禁煙補助薬の効果
ニコチン製剤やバレニクリンなどの禁煙補助薬を使用すると使用しない場合に比べて禁煙成功率が2~3倍高くなることが報告されていますが、禁煙を成功に導くためには禁煙補助薬と併行して十分なカウンセリングを行うことが重要です。

 

タバコがやめられない「ニコチン依存症」は治療すべき疾患です。禁煙治療を保険で行うことができる医療機関は、日本禁煙学会のホームページに掲載されています。

北里大学東病院
相沢 政明

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